建築遺産のlog!

世界中の建物に行けるといいな

いろいろな設計事務所(後編)

私の、設計事務所遍歴をお伝えしていくだけの内容です。

 

3社目:某コンビニ専門設計事務所

3社目はコンビニの設計をひたすら続けるだけの設計事務所でした。

 

コンビニ設計の流れはと言うと。

・まずはコンビニの営業の人たちと土地を見に行きます。法務局で土地情報は調べておきます。(半日)(ピクニックみたいで楽しい作業)

・見に行った土地の敷地図にコンビニのプランを落とし込みます(2時間で終わるかも)

 ・2~3週間、計画をこのまま進めていいのか、ただ待ちます。(60~80%ぐらいの物件はその後音沙汰なし)

・計画を進めていいとのコンビニ本部のお達しが出たら、役所協議を開始します(1週間~3か月)

・同時に実施設計図を描きます(最短半日)

・同時に確認検査機関用図書を作ります(確認申請図というやつですね)(最短半日)

・確認検査機関に図面を送り、審査を受けます(最短2週間)

・審査合格したら着工します(内緒だけどたまにフライング着工したりしてる…)

・コンビニ建築、内装(最短40日)(内緒だけど建設中、法令に&#%Ѕ#=#+@)

・コンビニOPEN(着工から平均で2か月)

という流れです。

描いていくとめんどくさい仕事のように思えてきますが、設計の中では驚異的に楽すぎる設計だと思います。

実施設計図なんて他の店舗の図面を流用するだけなので、半日どころかがんばれば3時間ぐらいで終わるんじゃないでしょうか(配置図以外は店の名前を付け替えるだけ!)。

 

土地を探しに行って、OPENまで半年ぐらい。これも驚異的なスピード。

ひとつひとつの設計は片手間にできるほど楽なんですが、コンビニ設計の大変さは、それを同時に30店舗ぐらいやらされるところです(*´Д`)

いくらひとつひとつの設計が楽だと言って、30店舗もやれるかー!と言いたいほど常に何かに追われることになります。

 

朝は8時30分のA物件のために市役所開庁時間に合わせてバリアフリー図を出しに行き、ついでに同じ市の法務局へB物件の登記簿を調べに行き、隣の市役所でC物件の調査を行い、さらに違う市の建設中コンビニで鉄筋検査を行い、会社へ帰ってD・E・F物件の基本設計を一気に仕上げ、G物件の緑化申請図を1枚書いたあとは、F物件の完了検査を行いにまた出かける…といった一日でした(;´Д`)

 

基本設計でほとんどの物件が消えて行くとはいえ、1週間に3~4物件が常に新規物件として投入されてきます。

それを5年ぐらい続けたので、いったい合計で何物件ぐらい手掛けたんでしょうか…。

コンビニ建築は物件数が異常に多くて余裕のある建設期間が取れなかったりするので、結構ブラックなところもありましたよ。

 

 

4社目:ゼネコン常駐設計事務所

 

4社目はゼネコン設計部に常駐している設計事務所。

ゼネコン設計部なので、設計するものは常に巨大な建物ばかりです。

設計期間5年なんていう建物もあります。

実質設計期間2日なんていうコンビニ設計とはまったく毛色の違う設計ですね。

来る日も来る日も見る図面は、一つの大型ビルの設計図。それを数年間飽きもせず眺めなければなりません。

来る日も来る日も見る図面はコンビニ図面のコンビニ設計と状況は似ているんですが、コンビニの場合、常に見るのは違う物件という違いがあります。

 

どちらが嫌か、と言われると圧倒的に大型ビル設計の方が嫌です。

何でもいいから、コンビニ設計でもいいから、違う物件で気分をリフレッシュさせてくれーとすがりたくなります。

 

ブラックなコンビニ建築に比べて、ゼネコン建築はびっくりするほど法令違反はありません。(契約はブラックなのかもしれないが)

コンビニならOKとされる法令違反ぎりぎりのグレーな話も、ゼネコンはNGになりますね。

そうやって、どんどん作業量が増えていった設計部は、平均帰宅時間22時なんてことになるのです。

終電がなくなってタクシー帰りも普通なゼネコン設計。

命をすり減らしてやるような仕事でもないだろう、ということで今、退職を考えていたりします…。(ゼネコン常駐設計事務所は比較的早く帰れますが…)