No.86⌒★多摩の始まる町・酒の町【福生市】
居酒屋に置いてある日本酒が「獺祭」だったら、なんだかがっかりしますね。
今は獺祭がはやっているらしいので、どこもかしこも猫も杓子も獺祭を置きたがる居酒屋が多いのです。
獺祭は、山口県の酒造会社が作るお酒で、獺とは、かわうそのこと。かわうそが採った魚でお祭りをしています。
味はとても良くいいお酒なんだと思うんですが、どこに行っても獺祭を置いているので、またか、と思います。
流行ってるから、売れるから、獺祭を置いとくか、みたいな軽い気持ちで並べているだけなんじゃないでしょうか。
少し前は、どこへ行っても八海山や越のなんとかというような銘柄、つまり新潟の酒ばっかりでした。
日本には、各地においしい地酒があります。いろんな地域のお酒を愉しむのがいいと思うんですが。
というわけで、今日は酒蔵のお話です…。
★★
福生市には、
嘉泉田村酒造
という酒蔵があります。
「嘉」はすばらしいとかめでたい、の意。
すばらしい泉から作ったお酒、ということに違いありません。
地形図を見ると、田村酒造があるあたりは、奥多摩から続く山筋が終わる場所に当たります。
山をくだってきた地下水は、ここでようやく地上に現れたんでしょうね。
東京に昔、飲料水を運んだ玉川上水も、このあたりから出発します。
ここの酒造蔵や前蔵など計5種の建物や塀が国登録有形文化財になっています。
田村酒造は、とはいえウェルカムな感じではないので、入れそうにありませんでしたが、
近くにある、
旧ヤマジュウ田村家住宅
はウェルカムな感じでOPENしていました。
1902年明治35年の建物。
先ほどの田村酒造の分家筋の家で、建物は下屋が設けられていてきれいな建物です(平屋建)。
しぶい色合いの商家の家という感じです。
建物は、多くの古民家に見られるように、向かって右が土間の家人用スペース、左が客間。で、ここは客間。
瓢箪型の襖引手。
鶴の形の釘隠し。
立身出世、長寿などが、ここでは祈られています。
本家の方の田村酒造のエントランス付近の昔の姿の絵もありました。
本家田村酒造の敷地の今と配置は一緒、門など変わっているところは変わっていますね。
ヤマジュウ田村家住宅の目の前には、純福音福生教会の建物が建っています。
ピンク色の洋館の建物。屋根などは、和の雰囲気も感じられます。
ここは、昔、郵便局だったので、何となく教会らしからぬ、変わった造りになっています。
煙草の販売コーナーみたいなところとかありますね。切手でも、売ってたんでしょうか。
福生市にはもう一つ、
石川酒造(多満自慢)
という酒造会社があります。
こちらも、向蔵、雑蔵、新蔵など計6種の国登録有形文化財。
二本の欅が並んだ、巨大な夫婦欅が目を引きます。
江戸時代末期頃に建てられたという、長屋門ももちろん有形文化財。
屋根には珍しく反りも入っています。
門の前では猫が一匹で日向ぼっこしながら、虎視眈々と餌待ちをしていました。
中央には、酒造会社らしく杉玉が美しく、ぶら下がっています。
この門の先は、どうやらプライベート空間らしく、入ることはできません。
敷地内には、ビールメインのイタリアンレストランや、地酒主体の和食料理店、売店がありました。
そして、たくさん買ってしまうことになるのです…( 'ω' ;)。
限定販売の「多満自慢 晴の陽」、復刻版ラベルのビール、酒粕のケーキ。
そう、ここは、ビール醸造も行っているのです。
東京都内にある酒の銘柄だけでも、知らないものばっかりです。