建築遺産のlog!

世界中の建物に行けるといいな

No.104⌒★焼失を免れた建物、枯渇を免れなかった滝【東京都北区】名主の滝

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東京第一陸軍造兵廠があった一帯は、北区中央図書館や赤レンガの酒造工場など、古い建物が密集した地域となっています。

中央公園にある、この建物(中央公園文化センター)もそのひとつ。

この建物は、東京第一陸軍造兵廠の本部だった建物です。

 

こちらは煉瓦造でもなく鉄骨造でもないRC造

空も壁も白過ぎて見えませんが(写真技術の問題?)、軍施設らしく左右対称の威容を誇る姿となっています。

 

もともと茶系のスクラッチタイル貼りだった外壁を、白好きなアメリカ人によって、真っ白にされてしまったとのこと(-"-)。

アメリカ人は占領期、日本全国の立派な建物をペンキで汚染していったのです。

 

造兵廠とは兵器の製造や研究を行った施設のこと。

北区の戦災区域図を見ると、北区中央図書館や、この中央公園文化センターの敷地は東京大空襲などでも見事に焼失を免れています。

造兵廠を空襲しないとは、、(*‘∀‘)

 

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威容を誇る文化センターですが、それを隠すように大木がそびえています。

 

文化センターは、「若さと健康を手に入れよう!ゆっくり学ぶ太極拳」やら、「楽しく踊ろうフォークダンス」やら、「マジックを楽しむ」やら、カルチャーセンターとして機能していて、周辺はややひっそりとしていました。

建物は、造兵廠から米軍施設、図書館と経て、今や余生を送っているようにも見えます。

昭和初期に建てられたものなのでもう築90年近くにもなるのです。

 

 

…暑くなってきました。

近くに滝が流れる公園があるというので行ってみます。

 

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名主が江戸時代に造ったという、

名主の滝公園。

なかなか立派な門から入ります。

 

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昼でもなお暗い名主の滝公園。

高低差のある公園内に、

うっそうとした草木と、水の流れがあって、蚊がいる以外は気持ちのよい空間です。

 

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東京23区の駅から近い場所なのに、人の気配がほとんどないのが気になります。

水が流れ着いた先の池はヘドロで濁っていて、残念な気はしますが、のんびりするにはいい公園だと思います。

 

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立川あたりからずっと続く武蔵野台地は、この北区で終点を迎え、

台地の下を流れてきた地下水が、ここでついに外界と出会います(*•ω•)

北区は、23区唯一の酒造会社もあって、

質の良い水が出る、東京では最東端の土地なんですね。

 

と、

書いて来ましたが、涸れてしまったのか、この滝は残念ながら人工の滝になってしまいました(´Д`)。

ポンプで吸い上げて流すだけの偽物の滝。

ディズニーランドの滝も。あれは実は、魔法の力で噴出させているんではなく、ポンプで流しているんじゃないかとにらんでいますが、それと同じです…|•ω•`)

 

名主の滝公園の西側には、北区中央図書館や中央公園文化センター、自衛隊駐屯地、さらには成徳大、東京家政大、その周りはマンションやビルがびっしり。

地下水には過酷な環境かもしれません。

23区唯一の酒造会社、小山酒造の伏流水も、涸れないことを祈ります…。