No.53⌒★小田原の別邸群【小田原市】清閑亭など
新装された小田原城。
からわずか100m南に行ったところに、
清閑亭があります。
「清閑」はデジタル大辞泉によると、「俗事にわずらわされず静かなこと」。
清閑亭は、豊臣秀吉の部将黒田官兵衛の子の長政から連なる福岡藩の、
最後の藩主黒田長知の長男黒田長成の別邸として建てられました。
海に近くて高台にあるので、邸からは相模湾とその先の真鶴半島まで望むことができます。
あまり車の入って来ない場所にあり、確かに俗事にわずらわされず静かに過ごせそう。
長成は貴族院議員をしていたので、東京から離れた落ち着いたこの場所を選んだんでしょうか。
入るのは無料。受付もないから入っていいのか心配になります。
内部はきれいめの数寄屋造りですね。
どうやら最近、BSの番組「百年名家」にこの建物が出たらしく、
「この戸は実は外せるんだよー」とか、にわか物知りがたくさんいらっしゃいました。
奴らは勝手に戸を外したり付けたりしてますが…(-"-)
机の、ぐるっと回す昔の電話式の呼び出しを回すと、
どこからかスタッフが現れます。
そして飲み物や軽いお菓子を注文が可能。
気持よく太陽を浴びながら、紅茶を飲みました。
さて、清閑亭は有形文化財ですが、
この近くには他にも有形文化財がいくつかあって、
上の建物は「ういろう」を売っている小西薬局の建物。
ういろうと言っても、更年期障害などに効く苦い薬のういろう。
苦い苦いういろう薬と合わせるように食べたお菓子をういろうと言ったとか、
ういろうと一緒に入ってきたお菓子がういろう薬に似ていたのでういろうと呼ばれるようになったとか、
由来はよくわかりませんが、繋がっていることは確かなようですね。
それはそうと同じ名前を付けるなー!('Д')まぎらわしい…
甘いういろうを2本買い、あまりの多さに食べきれませんでしたが…(ノД`)(賞味期限は1週間)
食べ残すと冷蔵庫でどんどん固くなっていく、ういろう。
そういえば、冷蔵庫に入れると固くなるとか店員さんがごにょごにょ言ってた気がしますが、名前を言ってはいけない虫Gに食べられるよりはいいですね。
ういろう屋からさらに100mほど海へ向かったところには
小田原文学館があります。
小田原は温暖な気候なので文学者が多数居住しました、と書いてあります(HPに)。
鎌倉も文学者が多数いることで知られていますね。
文章を書くには南の、海に近い温和な地域が適しているのです、きっと(東京にも近くて電車1本で行ける)。
ぼくも、小田原にくれば素晴らしい文章が書けるようになるんでしょうか…。
小田原に来れば素晴らしい文章がかけるのか、素晴らしい文章が書けるから小田原に来るのか。後者のような気もします。
裏へ回れば広い庭にベンチが置いてあり、のんびりと過ごすことができます。
スペインから直輸入したというスパニッシュ瓦とサンルーム。
屋上にパーゴラが見えますね。
デザインはごてごてとしたものではなく、さっぱりとしたものです。
ここは政治家の田中光顕(宮内大臣など)の別邸で1937年に建てられました。
田中光顕は1939年に亡くなりました。わずか2年しかいなかった上に、亡くなったのは静岡県蒲原町の別荘でした。
この頃の政治家はいっぱい別荘を持ってるんですね…。
いまじゃあ、新幹線であっという間に行ける小田原ですが、当時は俗事から離れられる、ショートトリップの先にあったのです。