建築遺産のlog!

世界中の建物に行けるといいな

No.12⌒★甲府の石の庭

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善光寺をあとにします。振り返ると、ぶどう畑の向こうで、善光寺は異様な存在感を示していました。

 

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すぐ近くには東光寺があります。

お寺は正方形・反りの強い庇・裳階付きのいわゆる禅宗様の建物です。室町時代

お寺を巡っているとよく見る形式の仏殿のひとつです。

この形式は反りの強さが見どころですが、反りは他に比べてそこまで強くはなさそうです。

それから、

裳階が何となく嘘っぽいのは、江戸時代に改築されたからだそうです。

 

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ここで有名なのは庭園。仏殿の周りにも庭園が広がっていますが、

 

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本堂の方にも蘭渓道隆作と言われる庭園があります。鎌倉時代南宋からやってきて鎌倉の建長寺を建てた人ですね。

 

池の中央に船形の石があり、つまり船を表しています。

その後ろに石が続いているのが、川とか滝とかを表わしていて、あと後ろに蓬莱山もあるようです。

石組がとても大胆に使われている庭園ですね。

ただ、残念ながら近くの道路からトラックのうるさい音が間断なく聞こえてきました。庭園は静けさが命、なのでまったく残念なことです。

この庭園に入るためには、本堂入り口の鉦をごーんと鳴らして(橦木で?)、やってきた気さくなお坊さんに300円渡して入る必要があります!

 

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甲府らしく武田菱の形に切り揃えられた植え込みも有ります。

 

◎東光寺仏殿(国指定重要文化財

竣工:1467-1572年室町時代後期

構造:一重裳階付・入母屋造・檜皮葺

 

★★

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東光寺を出て上の方へ歩いて行くと、東光寺の後ろ姿と共に富士山が顔を出そうとしていました。

 

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武田信玄駿河に追放してしまった父、武田信虎創建の大泉寺。

武田氏の本拠、躑躅が崎館は扇状地の奥に建っていて、その扇状地の縁にはズラッとたくさんの寺が配置されています(防御のため?)。

扇状地の真ん中は武士の住居ゾーンなどになっていて、何かしらの都市計画がなされています。

大泉寺は東の愛宕山の縁に建てられたお寺です。

 

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信虎は信玄の死後も生きていて、勝頼の時代に信濃で亡くなりました。

上の建物が、そのお墓。

 

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大泉寺の近くには武田信玄の墓もありますが、

追放の信虎の墓の方が家付で立派に見えます。

 

★★★

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帰るために甲府駅へやってきました。

駅前にもいろんな建物があって目移りしますが、時間がないので県立図書館だけ行ってみましょう。

 

山梨県図書館は久米設計と三宅建設計事務所の設計共同体による設計だとのことです。

いかにも「環境」を重視してますよ、と言わんばかりにこれみよがしの太陽光パネルが屋根に乗り、建物は日差しを防ぐルーバーで覆われています。

わざわざ甲府駅に向けて太陽光パネルを見せびらかしてますね。

上の方の茶色い部分は、壁面緑化だと思いますが、枯れ、、てますか?

 

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屋内天井にもルーバー、図書館にしては動きのある落ち着かない天井です。

 

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天井はとても高く、吹き抜けで光も差し込み、気持ち良い空間です。

小部屋が散らばっています。節操が無い部屋の配置をしていて、各部屋のサインもあまり綺麗だとは思いません。

ROOMとルームを使い分けているのは何か意図したものでしょうか。文字のフォントも全て違いますねえ。

 

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書棚の照明もところどころに使われているだけ。全体としてはそんなに美しくないと思います。

そう見ていくと、外観のデザインも混沌としていてすっきりしないものに見えてしまいます。

 

山梨県図書

設計:久米設計・三宅建設計事務所共同企業体

竣工:2012年平成24年